Q&A

京都弁護士会紛争解決センターとは

Q1 京都弁護士会紛争解決センターは何をするところですか。
 京都弁護士会紛争解決センターは,民事上のトラブルを裁判所の手続きを使わないで,当事者の話合いによって解決を図ることを目的として,京都弁護士会が設置・運営している紛争解決機関です。
 京都弁護士会所属の弁護士が,和解あっせん人あるいは仲裁人として,和解や仲裁のための話合いを進めます。
 「和解あっせん」とは,和解あっせん人が仲介となり,当事者双方から事情や主張を聞いて解決点を探る方法です。「仲裁」とは,あらかじめ仲裁人に判断を委ねるという合意(仲裁合意)をしていただき,仲裁人が判断をして紛争を解決する方法です。
Q2 どんな紛争でも利用できるのですか。
 当事者の話合いで解決できる紛争であれば,どのような紛争でも受け付けます。
 たとえば,相続問題,夫婦や家族の間の問題,男女間の問題,お金の貸し借り,近隣紛争,交通事故紛争,建築紛争,医療紛争,金融機関とその利用者との間の紛争(金融ADRを含む)などです。
 なお,交通事故紛争については公益財団法人日弁連交通事故相談センターの示談あっ旋手続が,建築紛争については住宅紛争審査会の紛争処理の手続きが利用できる場合があります。京都弁護士会1階窓口(TEL 075-231-2378)にご相談ください。

和解あっせん手続とは

Q3 和解あっせんと裁判所の調停とは違いはあるのですか。
 裁判所の調停も,紛争解決センターでの和解あっせん手続も,公平な第三者である調停委員ないし和解あっせん人が当事者双方から事情や主張を聞いて,非公開の場で,公平な解決を目指し,また,基本的に話合いで解決する点は同じです。
 しかし,裁判所で行われる調停と異なり,紛争解決センターでは必ず弁護士が和解あっせん人に就くことからより法的に妥当な解決が期待できること,また,裁判所の調停と比べ比較的短期間で解決に至ることが可能であること,といった点が異なります。
Q4 誰が和解あっせん手続を担当してくれるのですか。
 和解あっせん手続を担当するのは,京都弁護士会に所属する弁護士です。
 事案の内容に応じて,弁護士が複数選任される場合や建築士等の専門家が和解あっせん人または専門委員として選任される場合があります。
 また,和解あっせん人を補助する弁護士(補助者)が選任される場合もあります。
Q5 どれくらい時間がかかるのですか。
 紛争の内容によって異なりますが,紛争解決センターでは,申立てから3か月以内(2週間から1か月おきに3回程度の期日)での解決を目標としています。
Q6 費用はどれくらいかかりますか。
 申立手数料として11,000円(消費税込み)を申立人から負担いただきます。
 成立手数料は紛争の内容に応じて算定し,原則として当事者双方に折半してご負担いただきます。
 詳しくはこちらをご覧ください。
Q7 紛争が公になることは困ります。紛争解決センターの手続きについて秘密は守られるのでしょうか。
 紛争解決センターの手続きは,非公開です。また,和解あっせん人・仲裁人・補助者は守秘義務を負っていますので,秘密を守ります。
 ただし,当事者(申立人および相手方)については,当然に守秘義務が課されるわけではありませんので,その点は別途フォローが必要になります。手続きの初めにあらかじめご相談ください。

仲裁手続とは

Q8 仲裁とは,どのような手続きですか。
 「仲裁」とは,当事者が事前に仲裁合意を締結することにより,紛争の解決を第三者(仲裁人)の判断にゆだね,仲裁人の判断に拘束されるという手続きです。仲裁判断については,裁判のように不服申立てができません。
Q9 和解あっせんから仲裁への移行は可能でしょうか。
 和解あっせんの話合いの中で,いつでも双方が仲裁合意をして仲裁手続に移行することが可能です。

申立てをするにあたって

Q10 手続きを利用したいのですが,直接,弁護士会に連絡すればいいのですか。
 まずは,京都弁護士会その他の場所で,京都弁護士会所属の弁護士が行う,有料あるいは無料の法律相談を受けていただく必要があります。そのうえで,当該弁護士から紹介状をもらってください(なお,弁護士が代理して申し立てる場合には,紹介状は不要です)。
Q11 申立てをするために京都弁護士会1階の窓口に行かなければならないのでしょうか。
 郵送での申立ては受け付けてもらえるのでしょうか。ファックスではどうですか。
 申立てに際しては,できるだけ京都弁護士会の窓口に来ていただくようお願いしていますが,手続申立受付時間(平日:午前9時~12時,午後1時~5時)にお越しいただくことが難しいというような場合は,郵送での申立て(〒604-0971 京都府京都市中京区富小路通り丸太町下ル 京都弁護士会紛争解決センター宛)も受け付けています。
 なお,ファックスでの申立ては受付けておりません。
Q12 書類は何部提出すればよいのでしょうか。
 申立ての際には、申立書と証拠書類(写し)、いずれも「相手方の人数+3」を提出して下さい。その後の手続で書類を提出する際にも、上記の部数の提出をお願いします。
Q13 紛争解決センターに申し立てるのに弁護士を代理人につける必要があるのですか。
 弁護士をつける必要は必ずしもありません。申立てや手続きについてご不明な点は京都弁護士会1階窓口にご相談ください。もちろん弁護士を代理人としてつけていただいてもかまいません。
Q14 代理人となれる人に制限はありますか。
 紛争解決センターにおける和解あっせん・仲裁手続における当事者の代理人は原則として法定代理人もしくは弁護士です。
 紛争解決センターの許可を得て,その他の者が代理人となることも可能ですが,詳細は京都弁護士会1階窓口にお問い合わせください。
Q15 私も相手方も京都以外に住んでいます。私や相手方が住んでいる場所が京都でないときは,どうすればよいですか。
 和解あっせん手続には,裁判と違って管轄がありませんので,申立人や相手方の住んでいる場所に関わりなく手続きを申し立てることができます。
Q16 相手方が手続きに応じてくれるケースはどのくらいの割合ですか。
 平成23年度から平成25年度までの応諾率は77パーセントです。

手続きの概要

Q17 手続きはどうなっていますか。
 手続きは,和解あっせん人や仲裁人が当事者双方から事情や主張を書面もしくは直接口頭で聞きながら進んでいきます。
 詳細は手続きチャートをご参照ください。
Q18 和解あっせん手続で和解が成立したら,その後はどうなりますか。
 和解あっせん手続で和解が成立した場合, 和解あっせん人が和解条項を作成し,当事者双方が署名押印して和解契約書を作成します。
 和解の内容に応じて算定した成立手数料のお支払いを受けましたら,和解契約書をお渡しし,手続きは終了となります。
Q19 センターでの「和解」では強制執行ができないのですか。
 「和解」には「執行力」はありませんので,和解内容が守られない場合でも強制執行はできません。
 和解した内容について強制執行を行うためには,別途訴訟を提起する必要があります。その他,和解あっせん手続において,裁判所で行われている即決和解手続を行う方法や金銭の支払いにかかるものについては,公正証書を作るという方法もあります。
 特に,相手方から分割で支払いを受けるような場合には,注意が必要です。
 詳しくは,申立後に,担当となった和解あっせん人にご相談ください。
Q20 反対に,和解できなかったらどうなりますか。
 和解できなかった場合には,和解あっせん手続は終了します。和解あっせん人は紛争の性質,当事者の互譲の有無などの事情を考慮して,和解の成立が見込めないと判断した時は,和解あっせん手続を不成立とします。
 また,相手方が手続きに応じない場合も,話合いで解決するということができませんので,和解あっせん手続は終了します。
 その場合,裁判等,別の紛争解決方法をご検討ください。
Q21 話合いの期日はどこで実施していますか。
 京都弁護士会館のほか,北部(丹後法律相談センター大宮相談所,綾部法律相談センター(綾部市立会館市民ホール))・南部(山城広域振興局 宇治総合庁舎),京都駅前法律相談センターでも実施しています。詳しくは京都弁護士会1階窓口(TEL 075-231-2378)までご相談ください。
 また,和解あっせん人が適切と判断した場合には,現地調査や上記以外の場所で実施することもありますので,和解あっせん手続が開始した後は,和解あっせん人にご相談ください。
Q22 土日や夜間も利用できますか。
 手続きの申立て等は,原則として平日の受付になります(Q11参照)。
 話合いの期日について土日や夜間をご希望の場合はその旨,京都弁護士会1階窓口(TEL 075-231-2378)にご連絡ください。

あなたが和解あっせん手続の申立てを受けたら

Q23 和解あっせん手続の相手方として呼び出しを受けました。
 どうすればいいのですか。
 紛争解決センターより,和解あっせん手続申立の連絡があった場合,和解あっせん手続に応じる意向であれば,回答書に申立人の主張に対する反論等を記入して提出していただきます。その後,話合いの期日(連絡のあった和解あっせん手続の日)に出席していただき,話合いを行います。
Q24 和解あっせん手続の申立てを受けたら,必ずこれに応じなければいけないのですか。
 拒否したらどうなりますか。何か不利益があるのでしょうか。
 手続きに応じず回答書を提出したり期日に出席したりしなくても,特に制裁はありません。しかし,手続きに応じなければ,申立人が裁判所に訴えを起こす等,他の法的手続を選択して紛争がこじれてしまうこともあり得ます。紛争を解決する気持ちをお持ちであれば,期日に出席し(代理人の選任も可能です。),和解あっせん人らの豊富な経験に基づいたアドバイスなどを参考に,和解の道を探ってみる選択をお勧めします。

その他

Q25 金融ADRとは何ですか。金融ADRの取扱いはありますか。
 「金融ADR」とは,平成21年に金融商品取引法等が改正されたことによって創設された,金融トラブルを解決するための手続きです。
 金融機関等と利用者の間で発生した紛争を裁判で解決しようとすると,利用者側の負担が重くなるため,紛争解決センターが中立・公正な立場から簡易で迅速な解決手段を提供します(申立手数料は金融機関等が負担します)。申立人が金融ADRを利用するためには、相手方金融機関等が京都弁護士会と協定書を締結している必要があります。現在,京都弁護士会と協定書を締結している金融機関等は京都中央信用金庫,京都信用金庫,京都府共済共同組合,京都共済共同組合,学生情報センター,京都北都信用金庫,京都市民共済生活協同組合,一般社団法人JAバンク・JFマリンバンク及び京銀証券株式会社です。
 なお,内容によっては,金融ADRとしては取扱いのできないものの,通常の和解あっせん手続としてできるものもありますので,事前にお問い合わせください。
Q26 裁判の場合,訴えを起こすことで時効が止まると聞きました。
 和解あっせん・仲裁手続の場合はどうですか。
 紛争解決センターは,「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)」に基づいて法務大臣の認証を受けていますので,紛争解決センターに申し立てられた和解あっせん事件については,一定の要件の下で時効中断効が認められています。もっとも,裁判所で行う,訴えの提起とは異なり,和解あっせん申立書を紛争解決センターが受付けただけでは,時効の中断にはなりませんので,ご注意ください。
Q27 離婚紛争の場合,もし話合いがうまく行かなかったら,改めて家庭裁判所に調停申立が必要ですか。
 紛争解決センターは,「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)」に基づいて法務大臣の認証を受けていますので,一定の場合に,紛争解決センターの和解あっせん手続の利用をもって,調停前置の代わりとすることが認められています。この場合には,改めて家庭裁判所に調停申立をすることなく,離婚訴訟を提起することが可能です。
Q28 どこに連絡や問合わせをすればいいのですか。
 和解あっせん・仲裁手続についてご不明な点があれば京都弁護士会1階窓口(TEL 075-231-2378)までお問い合わせください。